第26回函館港イルミナシオン映画祭(実行委主催)が5日、函館市公民館で始まった。今年9月に函館市内で撮影された「自宅警備員のフェアリーテイル」(藤本匠監督、潮喜久知脚本)の初上映も行われ、多くの市民らが足を運び、見慣れた風景と相まった映画の世界観を堪能した。
新型コロナウイルス感染症の影響で、会期の短縮など縮小開催としたが「我々は映画祭の火を消さない」をテーマに据えた。
昨年のシナリオ大賞で審査員特別賞の荒俣宏賞を受賞作を映画化した「自宅警備員―」。遺愛学院の国重要文化財「ホワイトハウス」(旧宣教師館)など市内各地で撮影された。古びた洋館に住む中年男性の自立と再生を描いた作品で、随所に市民も演者として出演している。
上映が始まると観客は静かに見入り、終了時には大きな拍手が起こった。藤本監督、潮さん、主演の大沢真一郎さんらが登壇したトークショーも行われ、藤本監督は「凄いエネルギーが宿った作品。上映できてうれしい。皆さんに感謝」と頭を下げた。初めて脚本が映画化された潮さんも「夢のような感覚。この映画祭は夢をかなえる素敵な場所」とあいさつした。
また、この日は第24回シナリオ大賞の授賞式も実施。「JOE―千里を馳す―」でグランプリ(函館市長賞)を獲得した、東京都の石村えりこさんは欠席したが、「評価されてとてもうれしい」とコメントを寄せた。
最終日の6日は、若手映画作家育成プロジェクトの3作品を含む6作品を上映するほか、第3回ショートムービー・コンペティションで観客賞(グランプリ)となった「ある母」(板橋知也監督)も上映する。(小杉貴洋)