暮らしに彩りを添えるようなスペインタイル作りに挑む
重厚感のある幾何学模様、かわいらしいキャラクター―。鮮やかな色とデザイン性に富んだ「スペインタイル」。その歴史は古く、8世紀にイスラムからスペインへ持ち込まれたタイル文化が独自進化を遂げ、花開いた芸術の一つ。原田菜摘代表は5年程前に東日本大震災復興を取り上げたドキュメンタリー番組でその存在を知って技術を学び、奥深さに魅かれ創作活動を本格化した。手掛けるのは、素焼きのタイルに鉛筆で輪郭を描き、スポイトや筆で釉薬を垂らして彩色した後、窯で長時間焼き上げる「クエルダセカ」という技法。鉛筆の芯に含まれる油分が釉薬の水分を弾くので素焼き部分が輪郭や縁取りとして残り、表面に特徴的な凹凸を生む。バリエーション豊富なパステルカラーは釉薬を混ぜ合わせて作り出したオリジナルレシピだ。原田さんは「自在にデザイン出来るのが一番の魅力」と話し、北海道ゆかりの動物、花模様や装飾文字を丁寧に描く。作品のほとんどは表札やコースター、鍋敷き、アロマチャームと実用性の高いもの。「いずれはお土産や贈答品のマスト商品になれば」と夢に向かいモノづくりに打ち込んでいる。
(ハコラク 2021年1月号掲載)
スペインタイル工房 函館あーとたいる
函館市桔梗3‐28‐24
☎090‐8279‐6608
http://hakodate-arttile.sakura.ne.jp