今年度の国の技能卓越者「現代の名工」に、道南から唯一、雄喜フラワーデザインスタジオ社長の佐藤雄喜さん(79)が選ばれた。フラワー装飾の分野で長年培った技術や知識が高く評価された。佐藤さんは若い人への技術の継承などに意欲を見せている。
現代の名工は、各分野の卓越した技能者を厚生労働省が表彰するもので、今年度は150人を選定。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、表彰式は各部門の代表者のみが招待され、佐藤さんにはこのほど、表彰状や盾などが郵送で届けられた。
佐藤さんは、函館市内の生花店に勤務しながら、東京などに出向いてフラワーデザインの技能を磨き、1981年に独立。国家検定のフラワー装飾技能士、日本フラワーデザイナー協会によるフラワーデザイナーの資格を有するほか、両試験の検定員としても活動。全国各地で後進の指導にあたってきた。
「花はいつ見ても楽しく美しいが、技術を磨き、ちょっと手を加えることで、もっと美しく素敵に見える」との思いから、研さんを重ねてきた。職業訓練士としても地元の若者らにフラワー装飾を指導してきた。
デモンストレーションの際は、見ている人に出来上がる様子が分かりやすく伝わるよう、作品の後方から花を生けるスタイルを貫く。現代の名工では、アレンジメントの技能などに加え、このデモンストレーションの技術が「卓越した者だけが出来る技」と評価を受けた。
現代の名工の表彰状や盾を手にした佐藤さんは、「いろいろな人に支えられてきた。若い方に少しでも技術の継承ができれば」と感慨深げ。その一方、新型コロナウイルスの影響を受けて落ち込む生花業界にも心を砕いており、「こういう時期だが、花を通じて少しでも元気を与えられるよう盛り上げていきたい」と話している。(早坂直美)