病院歯科衛生士の役割
　～チーム医療の一員として～

　歯科衛生士と聞いてどんなイメージをお持ちでしょうか？歯医者さんで働くお姉さんと思われる方が多数だと思います。確かに歯科衛生士は医療職であり、その業務内容は歯科診療補助や歯科保健指導、歯科予防処置などを行い、患者様の歯や口腔の健康をサポートする専門職です。近年、歯や口腔の健康は全身の健康維持に大きく関わっていることが明らかになっています。すなわち、歯周病が糖尿病の重症化や脳梗塞、心筋梗塞などの発症に関与していること、口腔内の汚染が高齢者の誤嚥性肺炎の主たる原因であることなどです。
　急性期病院ではさまざまな専門職種によるチーム医療が推進されています。当院でも医師やがん化学療法看護認定看護師、緩和ケア認定看護師、薬剤師などに加え、歯科衛生士もがん専門サポートチームに参加し、計画通り治療が行われるように抗がん剤の使用前に口腔内診査や感染源のチェック、専門器具を用いて口腔ケアを行っており、治療中も副作用としての口腔粘膜炎について注意深く観察して早期に対策を講じています。全身麻酔手術後の栄養不足が傷の治癒に大きく影響し、結果的に入院期間の延長につながることが明らかになっており、多くの病院で栄養サポートチーム（ＮＳＴ）が立ち上がっています。当院でも歯科衛生士がＮＳＴの一員として医師、歯科医師、薬剤師、看護師、リハビリテーション科、臨床検査技師、言語聴覚士、栄養士とともにチームに参加し、口から食べる環境づくりに向けて積極的に患者様に関わっています。このようにチーム医療の中で大切な役割を担っていると実感する毎日です。
　歯・口腔の健康を維持するために、歯磨きだけではなく、日頃の簡単な口腔運動やマッサージなど意識して行うことが、「自分の歯でおいしく食べる」「楽しく会話する」など健康で生き生きとした生活を送るための基本となります。その大切さを知っていただければと思います。
（ハコラク　２０２０年１２月号掲載）

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