函館市元町の国の重要文化財、旧函館区公会堂の工事用の仮囲いが10日までにほぼ外され、きれいに修復された外観が2年ぶりにお目見えした。経年劣化による退色がなくなり、青灰色と黄色にくっきりと塗り分けられた洋館は冬を迎えた街に彩りを与えている。
公会堂は1907(明治40)年の大火で焼失した集会所や商業会議所があった場所に豪商・相馬哲平(初代)の多額の寄付を受け、1910(同43)年に完成。本棟は74年、附属棟は80年に重文に指定された。
外壁は、戦後の一時期、白とピンクに塗られた時代もあったが80~82年の保存修理工事で今回と同じ創建当初の配色に戻した。現在の工事は2018年10月に始まった耐震改修を伴うもので、同年11月には足場が組まれたため、丸2年間、外観を見ることができなかった。今年度いっぱい内装や設備工事が続き、来春リニューアルオープンを予定する。
明治末期に大火復興のシンボルとなった建物は110年の時を経て、新型コロナウイルスで落ち込む函館観光の大きな話題となりそうだ。市教委文化財課の長谷山裕一課長は「オープンはまだまだ先だが、これまで隠れていた外観を見ることができるようになった。新しくきれいになった公会堂で市民や観光客を元気づけたい」と話している。(今井正一)