体外受精に目を向けて
日本において子供の数が少ない事は事実であり、このままでは50年後には日本に子供がいなくなるという計算もなされています。言うまでもなく子供は国の宝であり次の日本を支えてくれる人たちです。菅首相が就任演説で不妊治療に保険を適応させるとありましたが、不妊に悩む人たちにはこの上ない朗報です。不妊治療は病気ではないという理由で保険適応外となり、全く適応されないのが体外受精です。北海道、函館市から不妊治療援助費として年間所得が一定額以下の方には補助金が出るようになりましたが、皆さんに出るわけではなく、自費の費用もかなりの高額になります。卵管が狭窄している人には卵管鏡手術が認められていますが、道ではなかなか適応されないのが現状です。
卵管で卵子を補足する機能がない人はいつまで経っても妊娠出来ません。そんな人たちには体外受精しか方法がありません。現在の不妊治療で、保険が適応されるのはホルモン治療までしかありません。高齢になるとホルモン治療だけでは妊娠の確率はなかなか上がりません。人工授精では35歳を過ぎると妊娠率は極端に下がります。出来るだけ若い間に妊娠しようという意識を持たないと、まだ早いと考えているうちに35歳は目の前です。体外受精をしても35歳まででは40%の方が妊娠しますが35歳を過ぎるとその確率は低下し40歳以上では5%以下になります。卵子の染色体が原因で卵巣内の正常な卵子が廃棄されなくなるからです。出来るだけ早い機会に受診し妊娠可能な体かを検査することが大切です。妊娠可能な方の年齢が上昇している昨今、自然妊娠率がどんどん低下することは現実です。私どもでは体外受精で46歳、47歳で初出産された方を取り上げさせていただきましたが、それは非常にまれな幸運な方です。現在出産される方の17人に1人は体外受精の方です。一般の治療法として体外受精に目を向ける時期ではないでしょうか。
(ハコラク 2020年11月号掲載)
略歴
昭和47年、岡山大学医学部卒業、同年ECFMG認定(認定番号1747732)、昭和50年より北大医学部癌研病理部門研究生を経て、昭和55年に医学博士学位を取得。国立高知医科大学産婦人科講師、函館五稜郭病院産婦人科科長などを経て、昭和62年産科婦人科秋山記念病院開設。平成8年には森町レディスクリニックを開設した。専門分野は産科学、悪性腫瘍。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。
秋山記念病院
函館市石川町41-9
☎0138-46-6660(代)
http://akiyama.hakodate.jp
■診療科目/産科、婦人科、乳腺外科
■診療時間/〈産科・婦人科〉
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