肝炎治療の最前線
慢性肝炎を放置しておくと肝硬変に進展してしまうことがあります。肝硬変になるとさまざまな症状が出現し、肝がんも出来やすくなってしまいます。慢性肝炎の原因として、肝炎ウイルス、過度の飲酒や肥満、自己免疫疾患、普段飲んでいるお薬の影響などさまざまな理由が考えられます。今回は治療薬の進歩が著しいB型肝炎、C型肝炎についてご紹介いたします。
C型肝炎の抗ウイルス治療は、ここ数年で大きく変わりました。以前はインターフェロンという注射薬を使用しておりましたが、副作用がとても強く治療期間も半年~1年間と長期に及ぶため、大変な治療法でした。しかし、2014年から飲み薬による治療が可能となりました。治療期間は8~12週間へ短縮され、C型肝炎ウイルスを排除できる確率はほぼ100%と大幅に治療成績が向上しました。副作用はほとんど見られず、高齢者や基礎疾患のある方でも十分導入可能です。C型肝炎は撲滅可能になりました。あとは感染に気付いておられない方をいかに拾い上げていくのかが課題です。
B型肝炎の抗ウイルス治療は、若い方であればインターフェロンを選択することもありますが、多くの方は飲み薬が中心です。C型肝炎との大きな違いは、治療対象と治療期間です。B型肝炎感染者全員が治療対象になるわけではないのです。ウイルス量や肝機能障害の程度で治療適応が決まります。B型肝炎治療薬の効果は非常に良好で、ほとんどの例でウイルス量を減らし、肝機能を正常化することが可能ですが、C型肝炎ウイルスのように完全に排除することは出来ません。一度治療を開始すると休薬することなく飲み続けることになりますが、最新のお薬は副作用も少なく安心して長期継続することが出来ます。
以上のようにウイルス性肝炎の治療はかなり進歩しております。医療費助成制度もございますので、気になる方はぜひ一度専門医にご相談ください。
(ハコラク 2020年11月号掲載)
略歴
平成5年に北海道大学医学部卒業後、同大付属病院、市立稚内病院、国立がんセンター研究所勤務を経て、市立函館病院に着任。日本内科学会総合内科専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。
市立函館病院
函館市港町1-10-1
☎0138-43-2000(代)
http://www.hospital.hakodate.hokkaido.jp/
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