帯状疱疹後神経痛は工夫次第で和らぎます
帯状疱疹後神経痛は治りづらい病気と言われていますが、日常生活を注意深く行うことで強い痛みをほぼ回避出来ることが、ペインクリニックや慢性疼痛の専門医の一部の中では知られています。普通の痛みは細胞壁を構成する成分破壊が原因で発痛物質が発生して痛みになります。この過程を遮断するのが消炎鎮痛剤です。日常経験する痛みに対して帯状疱疹後神経痛は末梢神経そのものの変化が痛みの原因となっています。両者の原因が違うため、寒冷刺激、軽い接触刺激に対する反応が著しく異なります。
帯状疱疹後神経痛では軽く触れるほど痛みが強くなり、しっかり圧迫すると痛みが軽減されます。患者さんは衣類が触れるのを怖がって、ゆったりと着る傾向にあります。それが原因となり体動で皮膚と衣類が接触し激しい痛みが出現します。これをアロディニア(異痛症)と言います。皮膚温が28度以下になると自発的に激しい痛みが出ます。風にあたり冷気に触れただけでも激しく痛みます。トリップ受容体(痛みと温度の受容体)が興奮するためです。発汗後に汗の管理を怠ると、汗の水分が蒸発する時に皮膚温が下がり痛みに変化します。また、食後も疼痛が出現します。食事性発汗のためです。
痛みを消失させるためには脳内ドーパミンを消費します。日常誤った動作で無駄にドーパミンを消費すると、帯状疱疹後神経痛に対応出来るドーパミンの量が減少します。日常に経験する痛みの考え方では帯状疱疹後神経痛に対処出来ません。正しく痛みを理解した上で、トイレ、椅子、ベッドから正しく立ち上がる「起居動作」、皮膚との間に遊びが出ないものを選ぶ「衣服の調整」、運動や入浴などによる発汗後の「皮膚の乾燥」、クーラーの効いた部屋や店などの寒冷確認、患部を露出しない「温度管理」など気を付けて過ごし、痛みの少ない楽しい日常生活を過ごしましょう。
(ハコラク 2020年10月号掲載)
略歴
昭和55年、岩手医科大学卒業後、同大附属病院麻酔科助手、昭和62年、函館五稜郭病院麻酔科、平成元年、函館脳神経外科病院を経て平成2年、やなづめ医院開院。日本麻酔科学会麻酔科専門医。
やなづめ医院
函館市日吉町3-43-20
☎0138-32-5000
■診療科目/ペインクリニック内科
リハビリテーション科
麻酔科(簗詰泰彦)
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