函館ゆかりの作家、谷村志穂さんを招いた函館市文学館特別企画「谷村志穂 自著を読む7」が15日、市公民館で開かれた。谷村さん自らが語り手となり、約50人が静かに聞き入った。
毎年この時期に開催し、今年で7回目。新型コロナウイルス感染症により、密集回避のため会場を公民館に変更したほか、フェースシールドの装着やビニールで仕切るなど対策を講じた上で開催した。
朗読したのは2012年5月に新潮社から刊行され、函館を舞台にした「尋ね人」の第3章。谷村さんが地の文を朗読し、会話の部分を地元有志8人が読み上げた。ゲスト出演した函館在住のピアニスト、伊藤亜希子さんは朗読の合間、情景が思い浮かぶ演奏を披露し、聴衆者を物語の世界に引き込んでいた。
谷村さんは公演後、「函館という町は、大火や戦争、洞爺丸事故などたくさんの災難を乗り越えてきた。町の記憶が漂っていると感じる。いろいろな物語を感じながらこれからも執筆していきたい」と述べ、大きな拍手が送られた。(木村京子)