函館市地域交流まちづくりセンター(通称・まちセン)のセンター長を務める丸藤競さん。道内の市民活動の中間支援組織、NPO法人北海道NPOサポートセンター(札幌)の理事も務め、まちセンのような各地の活動拠点施設運営者らとネットワークを駆使しながらコロナ禍における活動支援の在り方を模索する。「新型コロナウイルスの影響が出始めた当初は、会議や活動を発表する場所がなくなったりした程度の困りごとだったのが、長期化によって運転資金や活動継続そのもの問題となり、深刻化している」と指摘する。
2月下旬の東京出張の最中に函館市内で初めての感染者死亡が発表され、都内ではマスク姿で行き交う人たちの緊張感が漂っていた。帰函直後に道の緊急事態宣言があり、「世の中の景色ががらっと変わったと思った」と振り返る。まちセンも3月から5月まで断続的な休館が続き、「災害があった時こそ公共施設は市民が駆け込む場所で、各地の市民活動拠点の運営者とは、災害時にいかに役立つかという話し合いはしてきたが、コロナのような事態への発想はなかった」とする。
5月に函館近郊の市民活動団体90団体に実施したアンケートでは、全団体が何らかの影響を受けたことが分かり、会議や催し物、事業計画の変更を余儀なくされたり、会員、会費、寄付の減少を懸念する意見も寄せられた。NPO法人などの団体が活用できる支援策の情報にもニーズがあることが分かった。
「昨年の今ごろに『市民活動はどうあるべきか』と聞かれたら、居場所づくりやコミュニケーション、人との出会いを大切にすることなど、いかに〝3密〟をつくるかが一番のポイントだった。今は全部だめと言われているようなもの。考え方を変えていかないとならない」とする。一時期、催事がほとんどなくなった函館でもコロナ対策を講じた上で、活動を再開する動きが出てきた。過度な自粛ではなく、オンラインツールの活用など新たな時代に対応した活動の構築が求められる。
「NPO法人などは、市民の課題を解決するために存在しているので今こそ知恵の出しどころ。危機的状況にある今こそ、活動の質も進化すると思う。どう乗り越えていくか一緒に考えることはできるので、相談してもらいたい」と呼び掛ける。(今井正一)
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社会に大きな影響を与え続けている新型コロナウイルスの感染拡大。ウイルスの感染拡大を避けつつ、社会・経済活動を続けていくには、どうしたら良いのか―。道内地方5紙(函館新聞、釧路新聞、十勝毎日新聞、苫小牧民報、室蘭民報)が共同で道内識者にインタビューした。(随時掲載)