ワクチンで予防出来るがんがあります
公費負担で接種出来るワクチンの中に、がんを予防するワクチンがあります。その一つが子宮頸がんワクチンです。
子宮頸がんの発生には、その多くにヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関連しています。HPVは性交渉で感染することが知られています。しかし多くの場合、免疫によって排除されますが、感染が繰り返されると発病に至ります。子宮頸がんは若い女性の罹患するがんの中では乳がんに次いで多く、女性の100人に1人が生涯のいずれかの時点で子宮頸がんにかかるといわれています。年間9000人前後の人が子宮頸がんにかかり、2700人もの人が亡くなっています。
HPVには複数の型があり、日本人に多い一部の型を予防するワクチンが接種出来ますが、接種しても定期的に子宮頸がん検診を受けることが大切です。ワクチンは初めての性交渉前に接種することが望ましいと考えられ、日本では小学校6年生から高校1年生相当の女子が対象年齢となっています。
日本では報道されていませんが、オーストラリアにおいて子宮頸がんワクチンは80%近い接種率です(日本では現在1%未満)。その成果として今年、子宮頸がんはまれながんとして認定される予定です。子宮頸がん撲滅のためには男子のHPV感染の減少も必要とされ同国では男子にもワクチン接種が行われています。
これほどの成果を挙げているワクチンですが、日本ではその安全性が疑われています。このワクチンの定期接種は世界で80カ国近くにも上ります。残念ながらワクチン接種が積極的に推奨されていない日本では子宮頸がんによる死亡率がここ10年の間に5~6%上がったという報告があります。今一度、子宮頸がんワクチンの接種の是非を家族で話し合ってみてください。
(ハコラク 2020年8月号掲載)
略歴
昭和62年、埼玉医科大学卒業後、東京都立清瀬小児病院、小川赤十字病院、厚生連熊谷綜合病院を経て、平成10年から14年まで函館五稜郭病院に勤務。平成15年、五稜郭ファミリークリニック小児科開院。
五稜郭ファミリークリニック小児科
函館市柏木町11-10
☎0138-31-6660
■診療科目/小児科、アレルギー科
■診療時間/月・火・木・金 8:45~12:00
14:00~18:00
※木曜14:00~ は乳児健診
水 ・ 土 8:45~12:00
※ワクチン接種は随時(前日までの予約制)
■休診日/日曜・祝日