認知症の予防
認知症の患者数は2012年の厚労省の調査で462万人と言われ、さらなる増加が予想されています。認知症の原因はさまざまですが、中でも半数以上を占めているのがアルツハイマー型認知症です。今回はアルツハイマー型認知症の予防を中心にご紹介します。
実はアルツハイマーが発症する20年以上も前から原因物質とされるアミロイドベータ蛋白が脳に多く蓄積されることがわかってきました。現在アミロイドPETイメージングという核医学検査で発症前に予測することが可能となってきましたが、いまだ決定的なワクチンのような予防策は見つかっていません。ですから皆さんには今できる認知症予防策として、次のような日常生活を意識し実践していただければと思います。
最も大切なことは日頃の生活で脳を使う、脳に刺激を与えることです。なるべく相手と顔を突き合わせて会話をすること、いろいろなことに興味を持ち人間関係を広げ交流することが重要と言われています。散歩のような少し汗ばむ程度の有酸素運動も有効です。特にしりとりや暗算をしながら同時に散歩するといった「ながら運動(デュアルタスク)」がおすすめです。糖尿病や高血圧のような生活習慣病が認知症のリスクを高めますので、かかりつけ医の先生のアドバイスに従い病気を上手にコントロールすることも重要です。
食習慣では、バランスの良い食事を取ることはもちろんのこと、青魚のDHAやEPA、カレーライスに含まれるクルクミン、赤ワイン(お酒が飲めない方は野菜ジュース)に豊富なポリフェノールなどがアミロイドベータ蛋白の蓄積を防ぎアルツハイマーの予防となります。
最近の研究では睡眠中にアミロイドベータ蛋白などの老廃物が排泄されることも分かってきました。良好な睡眠が重要なアルツハイマーの予防因子として注目されています。夜更かしは厳禁です。
(ハコラク 2020年8月号掲載)
略歴
昭和62年、札幌医科大学卒業後、同大神経精神医学教室に入局。同大付属病院、伊達赤十字病院、ときわ病院を経て令和2年4月、亀田北病院に院長として着任。平成23年4月から4年3カ月、TV番組でレギュラーコメンテーターを務めた。日本精神神経学会精神科専門医。
亀田病院 分院 亀田北病院
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