老舗の看板を守りながら世界に1つしかない帽子を作り続ける
店主の村上さんが初めて作った帽子は、デニム生地のキャスケット。「レコードジャケットを見て同じ物が欲しくなり、自分で作ってみようと思った」と言い、自分のジーンズを切って生地にし、本を手本に実際に縫い上げてみたところ、友人にも好評だった。以来、自分用の帽子作りを続けていくうちに、完成度の高い物を少しずつ店に並べるように。祖父たちの仕事を見て作業工程は自然と目にして学んでいたものの、より完璧を目指して本を読み、取引先の職人にも話を聞いて試行錯誤を重ね、納得のいく作品が作れるようになるまで技術を磨き上げた。テレビや雑誌、映画などから情報を得、約80cm四方の生地から生み出す布製の帽子はどれも個性的だ。
「帽子が好きなお客さんはおしゃれ。自分だけの物が欲しいと考える人が多い」。生地やデザイン、大きさなど、客の希望に耳を傾けるうちに、そのこだわりに応えたいと奮起、オーダーメイドも受け付けるようになった。客と一緒にデザインを詰めて、使用する生地を持ち込んでもらい制作に着手。作業の中で一番難しいと感じるのは型紙作りだが「同時に一番に楽しく、やりがいがある部分でもある」と村上さんは目を輝かせる。生地の特徴や良さを考慮して厚紙に線を引き、切り離しては実際の形に組み上げ、デザイン通りに出来上がるよう、細かな調整を繰り返し1カ月掛けて完成へ。1つとして同じ物はなく、手にした客の喜ぶ顔が新たな作品を生み出す原動力になっている。
(ハコラク 2020年7月号掲載)
赤帽子屋
函館市松風町11‐3
☎0138‐22‐2954
12:00~19:00
不定休
キャッシュレス決済利用可