【上ノ国】電源開発(本店・東京都中央区)は、桧山沖エリアでの洋上風力発電事業の可能性を調査検討するため、海底地盤調査を行っている。調査を実施する五洋建設(東京)のSEP(自己昇降式台船)型多目的起重機船「CP-8001」が2日朝、道の駅上ノ国もんじゅから北へ約1キロの地点に到着し、作業を開始した。
同船は、レグと呼ばれる4本の支柱を海底まで伸ばし、船体を海面から浮かせ作業にあたっている。対応可能な水深は30メートルまでだが、長尺レグを取り付けることで水深50メートルまで対応できる。船体を海面から35メートルの高さまで持ち上げられ、気象や海象条件が厳しい海域であっても、波浪の影響を軽減させて稼働率を高めることができる。
大型クレーンを搭載しているのが特徴で、最大800トンの荷物を吊り上げ可能。クレーンのブームを起てたときの台座からの高さは「五稜郭タワーと同等」(五洋建設広報グループ)といい、109メートルにもなる。3日の作業では、海面からクレーンの最高点まで122メートルあった。
同船での調査は、上ノ国や江差、せたな沖の計4カ所で、ボーリングによる海底の地盤調査を予定。荒天時を除き、1カ所で8~10日ほどかかる見込み。
調査を進めている海域の桧山沖は、資源エネルギー庁と国土交通省が3日に発表した、国の再生エネ海域利用法の促進区域の指定に向けた「既に一定の準備段階に進んでいる区域」として、今年度整理した10区域のうちの1つに上がった。
今後促進地域の指定までは、有望な区域に選定されるなどのハードルがあるものの、桧山管内洋上風力連絡協議会の事務局・上ノ国町は「有望区域選定へ一歩進んだように思う」とコメントしている。(入江智一)