函館市は新型コロナウイルス感染症対策として、医療提供体制を強化する。患者の移送体制を強化するほか、医療機器などを購入し、流行の「第3波」に備える。
市はこれまで、新型コロナウイルスに感染した疑いがある患者を車で移送する際、患者が乗る後部座席と運転席をポリエチレンシートで仕切り、感染防止に努めてきた。ただ、さらなる感染拡大防止の観点から移送専用の車両が必要と判断し、購入を決めた。
感染症患者を搬送する時に使用する「DIFフード」と呼ばれる防護具も併せて購入し、移送に携わる職員の安全を確保。防護具は、フードとフィルターなど一式で1着当たり約33万円を想定し、移送用車両の購入費と合わせた関連費用は282万円。
また、市立函館病院では重症患者の増加に備え、ICU(集中治療室)を2床増床して計10床とするほか、人工呼吸器4台、陰圧装置8台を導入し医療体制の強化を図る。これに伴い、ICUでの勤務経験がある看護師を配置転換して人材を確保する方針。職員に対し出勤前の検温を徹底させるとともに、休憩室を増やして3密(密閉・密集・密接)回避を図るなど、職員の院内感染防止策にも力を入れる。
5日の市議会予算特別委員会民生分科会(池亀睦子委員長)で吉田崇仁氏(市政クラブ)らの質問に対し、市立函館保健所の兵庫隆俊次長は「新型コロナの次の波に備え、医師会や道と連携し市民に安全安心な医療を提供できる体制を整えたい」と答弁した。(長内宏人)