聞く力の発達
赤ちゃんは、お腹にいる時からさまざまな音を聞いています。お腹の中は、お母さんの心臓の音や内臓の音でにぎやかです。それでも、お腹の壁を通して外からの音も聞こえていて、大きな音に反応したりします。お母さんの声は、骨を伝わってしっかり赤ちゃんには届いています。生まれてまもなくの赤ちゃんでも、ほかの人の声より、お母さんの声により多く注意を向けることが分かっています。生まれる前から音が聞こえている赤ちゃん。きっと、これから出ていく新しい世界はどんなところなのか?と聞き耳をたてているのでしょう。
さて、生まれてから赤ちゃんは、さまざまな音の洪水にさらされます。突然の物音にびっくりするだけだった赤ちゃんが、いったい何の音なんだろうと、じっと止まってうかがうようになります。生まれて2~3カ月くらいすると、首の向きが変えられるようになり、音がするとそっちの方に目を向けて、何からどんな音が出るのかじっと観察し始めます。親しみのあるお母さんの声には、うれしそうな顔を見せ、聞き慣れない音には不安な顔をします。次第に、ぶーぶー、うまうまと喃語を話し始めます。自分でしゃべった言葉を自分で聞いて、いろいろな音を出しては楽しんでいるように見えます。言葉の発達のひとつのステップです。
大人が赤ちゃんに話し掛けるときは、自然に「あ~ら、かわいいわね~」などと間延びした話し方になります。このテンポが緩やかで一つひとつはっきりした切れ目がある話しかたが、赤ちゃんの言葉の習得を促します。ある時、こちらからの声掛けに反応して、喃語を返してくれるようになります。お母さんの日頃の苦労が報われる瞬間です。それから何カ月も、お母さんと声のやり取りをして、そうして言葉を覚えていくのです。
(ハコラク 2020年3月号掲載)
略歴
昭和59年、北海道大学医学部卒業。同年4月から北海道勤医協札幌病院に8年間勤務後、静岡てんかん・神経医療センター小児科、道南勤医協稜北病院小児科医長を経て、平成21年9月、はるこどもクリニックを開院。平成23年12月病児保育所はるっこ開設。日本小児科学会小児科専門医、日本小児神経学会小児神経専門医。著書に「いいとこ探しののびのび子育て」あり。
はるこどもクリニック
病児保育所はるっこ(はるこどもクリニック併設)
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