函館市企業局交通部は14日、函館市電の車体更新車7001号車の試運転を始めた。2007年の9600形(らっくる号)導入以来13年ぶりの新形式となる7000形の1両目で、アルナ車両(大阪府摂津市)で製造した車体に715号車の台車を使用。職員の習熟期間を経て、営業走行に入る。
既存車両の全面的な更新は1990~12年に800形計10両を改良した8000形がある。更新費は約1億円で、らっくる号1編成導入(約2・4億円)の4割程度となる。
60年に運行を開始した715号車は、59~61年に旧新潟鉄工所で計14両(711号~724号)を製造した710形の1両で、台車は旧住友金属工業製。710形は60年間にわたって主力車両として活躍し、現在も6両が現役で走行する。
自動車のオートマチックに当たる間接自動制御方式を初めて導入した車両だが、同部施設課の廣瀬弘司課長は「速度制御装置のメンテナンスが困難になっている」とし、今回の更新に合わせて刷新した。外観上は既存の8000形と大きな変更はないが、床下にあった抵抗器を腐食防止のため屋根に上げたほか、車内には空気を循環させるファンを新設した。
車体は10日に駒場車庫に搬入。14日の試運転では大久保孝之部長や職員、アルナ車両関係者らを乗せて、全路線を走行した。カラー表示ができる車体前後の行先表示器には「試運転」「新装7001号車」の文字や電車のイラスト、側面には「デビュー目指して調整中」などと表示された。
同部では新年度、8006、8008号車の車体改良、21年度にらっくる号の5編成目導入を計画。710形の車体更新は現時点で未定。(今井正一)