【厚沢部】町社の山の「道南いたさか農園」(板坂峰行代表)で21日、雪の下の「越冬メークイン」の掘り出し作業が始まった。
「雪室貯蔵」の環境で保管されたイモは「低温糖化」と呼ばれる現象で、デンプン質の一部が分解。糖分が増し甘みが強くなる。町内の道の駅で販売するほか、百貨店やレストランなどにも出荷される。
現在では倉庫内でも糖度を増す保管法が確立されているという。しかし、地元農家が自家消費用に行う昔ながらの雪中貯蔵法を守ることが同農園のこだわり。今年度は、農薬を7割、窒素成分の化学肥料を5割低減して栽培する「特別栽培農産物認証書」も取得し、より良いメークインづくりに力を注いだ。
越冬させたメークインは、昨年のうちに専用の袋に詰め、その上に土をかぶせて、自然に降り積もる雪の下で寝かせたもので、必要に応じ掘り出し出荷する。この日は、越冬させている10トンのうち、カタログ宅配事業者へ納入する500キロ分が、重機やスコップを使い掘り出された。
板坂代表は「塩煮は何も付けず、そのまま食べてもイモの甘みが十分感じられる。冷めても美味しく、シチューに入れるとより一層甘みを感じられるので、ぜひ試して」と話していた。(入江智一)