私も夫も成人式には参加しなかった。なぜか忙しくて実家には帰れなかったからだ。二人の娘たちも成人式には全く関心を示さず、私たちもそれでよいと考えていた。伝統的な儀式ではなく自治体主催の行事だと思っていたし、実際に皆多忙を極めた二十歳の1月だった。
18歳を成人とする案もあるようだが、学校を卒業し、就職した時が大人の仲間入りなのではないかと私は思う。義務教育を終えて自活すれば、15歳でも立派な大人である。若くして子供を持てば大人として扱われるのは当然だろう。年齢を重ねても大人になれない人もいる。成人の定義は難しい。
さて、わが家には振り袖が何枚かある。父が作ってくれた振り袖は卒業式や自分の結婚式、友人の結婚式などに何度も着た。そのほかに知人からいただいたものや、文様研究のために古着屋さんで見付けたものなど、いつの間にか増えてしまった。もったいないので最近は留学生さんたちにお貸しして喜んでいただいている。
昨今はキモノを着る人が少なくなったが、成人式はまだ振り袖が主流のようだ。ぜひそれをきっかけに和服文化に関心を持ってほしい。終活と称してキモノの処分に苦労している人は多い。なんとか若者の関心と繋げないものだろうか。素材も柄も帯との組み合わせも自由自在でキモノは実に楽しい。海外ではおしゃれアイテムとしてキモノは大注目である。若い人たちにもっと楽しんでほしいものだ。(生活デザイナー)