銀行当時を思い起こす重厚感ある外観
函館ゆかりの作家たちの偉業を今に伝える
焦げ茶色と白の調和が美しい「函館市文学館」は、1921年に第一銀行函館支店として建設された、れんがおよび鉄筋コンクリート造3階建ての建物。シンプルな紋章が映える外壁、建物に向かって左奥の職員通用口にあたるドアの屋根の支え、現在も活用している玄関の鉄扉、ツタが絡む高い塀と建設当時の面影が今も外観部分に残っている。65年に「北日本信用販売(現ジャックス)」が本社として土地・建物を購入し、同社創立35周年にあたる89年に文化振興に役立ててほしいと函館市に寄贈。補強改修を経て93年に市ゆかりの作家の業績を伝える公共施設として生まれ変わった。館内には石川啄木の直筆の書簡や遺稿、愛用品などの貴重な資料を半年に一度、内容を入れ替えて紹介するほか、佐藤泰志、辻仁成らの著書や手書き原稿など、常設・企画合わせて300点ほど展示。時代の流れを作家の息遣いとともに感じられる貴重な場所だ。
(ハコラク 2020年2月号掲載)
函館市文学館
函館市末広町22‐5
☎0138‐22‐9014
9:00~17:00(4~10月は19:00まで)
12月31~1月3日休館(ほか臨時休館あり)
入館料/一般300円、学生・生徒・児童150円
未就学児無料