3Dプリンターとは~医療機関で使用するケース~
皆さんは3Dプリンターと聞くと何を思い浮かべますか?工場で機械部品の作成や、自由に人形や模型などを作成するなど、最新技術の機械といったイメージでしょうか。今では一般家庭で使用できる機種もあるので身近な存在になりつつあります。
実は医療機関でも3Dプリンターが導入されております。主な用途は患者さんご本人のCT画像などから、骨の実物大模型を作成し、その模型を用いて手術のシミュレーションや手術前に患者さんやご家族への手術説明などに使用しています。基本的には全ての手術で作成するわけではなく、主治医が模型を作成することが有用と考えられた手術のみで作成する場合がほとんどです。
実際の活用例として側弯症の手術についてお話しします。側弯症とは背骨が左右に曲がってしまった状態であり手術では背骨にネジを打って矯正し固定しますが、そのためには複雑に湾曲した骨の構造を術者が立体的に理解する必要があります。3Dプリンターでは患者さんご本人の骨を実物大の模型として視覚化し、レントゲンやCTではできない〝手に取って見たい方向からの観察〟ができるため、より立体的な形状の把握が可能となります。その結果、ネジを入れる位置や角度のイメージが容易となり、臓器損傷のリスクも下げられ、術者にとって有用な手術支援に繋がっています。
また、患者さんやご家族にとっても手術前の説明の際にはご自身の骨の模型を前に説明され、手に取ることも可能なため、手術の内容を理解しやすく安心して手術を受けていただくことができます。医療機関での3Dプリンターは普及し始めてはいるものの、まだまだ一般的な存在ではありません。術者にとっても患者さんにとっても、より安全・安心な手術実施を支援するため、一層の普及が期待されています。
(ハコラク 2020年1月号掲載)
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