慢性疼痛、長引く痛み
痛みは病気やケガにつきものです。病気やケガから回復すると自然に痛みがなくなるのが普通です。帯状疱疹で皮疹が治ると痛みも消失しますが、痛みがなくならずに神経痛に移行する人がいたり、ギックリ腰の後に慢性腰痛に移行する人もいます。ほか、歯に原因がないのに歯が痛い人、肛門周囲、会陰部が痛くて苦しんでいる人、手術が成功したのに傷跡が痛み続けている人、何もしていないのに皮膚が焼けるように痛い人、全身が痛く日常生活に大変不自由している人もいます。検査をしても悪いところが見付からず、医療者から理解されず周囲の人から不信の目つきで見られ、自分自身でも不安が高くなり痛みの恐怖の中に閉じ込められている人もいます。
なぜ同じ刺激に対し結果が違う人がいるのでしょうか。大部分の人にとって全く痛くない刺激でも、ある個人にとっては激しい痛みになることがあります。慢性疼痛という痛みが長く続く病気があり、総務省統計によると全国で約2000万人が悩まされています。全国的に慢性疼痛を専門とする医師が少なく患者さんは痛みが軽くなる事を願い、あちこちの病院をさまよい歩いているのが現状です。
慢性疼痛には原因があり、その治療法もある程度、確立されつつあります。国内に慢性疼痛を研究している学会が8つあり、今も研究が続いています。治療法は常に進歩しており、長引く痛みから解放されている人が増えております。日本運動器疼痛学会、日本口腔顔面痛学会、日本疼痛学会、日本ペインクリニック学会、日本ペインリハビリテーション学会、日本慢性疼痛学会、日本腰痛学会の7学会のメンバーが結集し厚生労働省の助成金で「慢性疼痛治療ガイドライン」を作り上げました。運動療法、認知行動療法、マインドフルネスなど新しい治療法が取り入れられています。原因がわからず痛みに苦しんでいる人は専門の病院で相談してみましょう。
(ハコラク 2019年12月号掲載)
略歴
昭和55年、岩手医科大学卒業後、同大附属病院麻酔科助手、昭和62年、函館五稜郭病院麻酔科、平成元年、函館脳神経外科病院を経て平成2年、やなづめ医院開院。日本麻酔科学会麻酔科専門医。
やなづめ医院
函館市日吉町3-43-20
☎0138-32-5000
■診療科目/ペインクリニック内科、リハビリテーション科、麻酔科(簗詰泰彦)
■診療時間/〈ペインクリニック内科〉8:30~11:30、16:00~18:00
〈リハビリテーション科〉8:30~12:00、15:00~18:00 〈麻酔科〉8:30~11:30、16:00~18:00
〈理学療法〉8:30~12:00、15:00~18:00
※いずれも水・土曜は午後休診
■休診日/日曜・祝日