見る力の発達
「目は口ほどにものを言う」。私たちは言葉以上に「目で見ること」を通じて人とのコミュニケーションをとっています。ビデオで外国語を学習する際、動画と静止画では動画を使った方が、効果が上がることが分かっています。
赤ちゃんも生まれた時から目が見えています。視力は0.01~0.02くらいで、20~25cmくらいをボーッと見ているように見えます。ただ明るいところを見るだけではなく、次第に見つめている親の顔をじっと見るようになります。赤ちゃんは人間の顔を好んで見ることがわかっています。
「見る力」は、まさに「見ること」によって発達していきます。赤ちゃんがお母さんの目を見る時間と、お母さんが赤ちゃんの目を見る時間を生後から計測すると、日数を経るごとにお母さんの視線を感じてそれを追い、目を見る時間が長くなります。一方、お母さんの方も、赤ちゃんの視線を追って目を見る時間が増えていき、赤ちゃんの目を追うスキルがアップしていくというのです。初めは、ぼんやりと自分の方を見ていた赤ちゃんが、自分の目をしっかり見てくれるようになる、その変化がお母さんへのご褒美になり、お母さんのやる気を引き出させ、次第に母と子の息が合ってきます。
ほかの動物と違って、生まれたばかりの人間の赤ちゃんは自分では何もできず、ほかの大人の世話を必要とします。赤ちゃんにとって人間の顔を注視することは、初めから特別にプログラムされているもののようです。見つめられたお母さんは、盛んに声を掛けたり、表情を変えたりしてあやすことでしょう。そうやって、外界からの刺激がたくさんあればあるほど「見ること」は発達していきます。
親も赤ちゃんを産めば自動的に親になるのではなく、赤ちゃんとのやりとりによって親として成長していきます。赤ちゃんが親を育てていると言っても良いのではないかと思います。
(ハコラク 2019年11月号掲載)
略歴
昭和59年、北海道大学医学部卒業。同年4月から北海道勤医協札幌病院に8年間勤務後、静岡てんかん・神経医療センター小児科、道南勤医協稜北病院小児科医長を経て、平成21年9月、はるこどもクリニックを開院。平成23年12月病児保育所はるっこ開設。日本小児科学会小児科専門医、日本小児神経学会小児神経専門医。著書に「いいとこ探しののびのび子育て」あり。
はるこどもクリニック
病児保育所はるっこ(はるこどもクリニック併設)
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