花粉症に対する新しい治療について
なにかしらのアレルギー性疾患を抱えている人は、国民のおおよそ3人に1人。毎年、花粉症でつらい思いをしている方はとても多いと思います。今回は花粉症の一般的な治療方法や、近年保険適応となった〝新たな治療〟についてもお話したいと思います。花粉症と言えば、「スギの花粉症」をよく耳にします。スギの飛散時期は道内では概ね3~5月です。この時期に鼻水・鼻づまり・くしゃみなどの症状がある方はスギ花粉症の可能性があります。診断には血液検査が一般的で、皮膚の検査もあります。治療については、スギ花粉の除去・回避としてマスクやメガネの使用や、窓を開けっ放しにしない、空気清浄器の利用があります。薬物療法では飲み薬や点鼻薬・点眼薬がよく使われます。重症な場合には鼻の粘膜を焼く手術なども考慮されます。
新しい治療として、簡単に施行でき、根本的に症状を起こしにくくする〝舌下(ぜっか)免疫療法〟が開発されました。2014年にスギ花粉に対して保険適応となり、2018年からは小児でも使用可能となり、自宅で簡単に花粉症の根本的な治療ができるようになりました。治療の適応があれば、1日1回、少量から開始し、その後、徐々にお薬の量を増やしていきます。治療期間は3年以上が推奨されますが、効果は開始数カ月後から期待できると言われています。ただ、人によっては口の中がはれたり、かゆくなったりするなどの軽度なものから、重大な副作用が起こる可能性もあるので、処方可能な医師に相談してから開始しましょう。また、舌下免疫治療は、花粉の非飛散期に開始する必要があるため、開始するならまさに今!(1月頃まで)が良いかと思います。 花粉症の治療はこれまでの飲み薬や点鼻薬などから、今回ご紹介した舌下免疫療法まで、いろいろあります。お困りの方は、耳鼻科などを受診し、自分に合った治療方法について相談してみてはいかがでしょうか。
(ハコラク 2019年11月号掲載)
略歴
平成20年、札幌医科大学医学部卒業後、JR札幌病院、札幌医科大学附属病院、帯広厚生病院、函館五稜郭病院、KKR札幌医療センター勤務を経て平成31年より市立函館病院に着任。日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医。
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