大型台風が夏休みとお盆の真っ最中、日本全域を襲った。襲ったという表現がまさにふさわしいと思う。交通機関は運休や欠航を早めに告知するようになったが、私たちにできることは天候と交通の情報をひたすらチェックすることくらいである。
「自然とのたたかい」というタイトルにはしたが、私たちは一方的に襲われるだけ。反撃はできない。せめて最小限の傷で済むように防御策を練るのが精一杯である。人間は自然の前ではかくも無力なのだ。台風と大雪のたびに思う。台風は進路が明確で必ず短期間で去るので、長引く猛吹雪や豪雪よりはまだマシかもしれないが、毎回被害が大きすぎる。AIの時代になっても完全な被害回避はできないのだろうか。
私たちは今自然の逆襲に遭っているのではないかと言った人がいる。言い得て妙だと納得した。開拓当初から北海道の人々は厳しい自然現象や災害に屈しながらも、農地や人々が住むエリアを広げてきた。そのプロセスはまさに「戦い」だったと思う。動物たちとの関係も共存ばかりではなく敵対関係に苦しんできたはずだ。だが駆除と保護を繰り返しても、動物たちを制御するのは難しい。
頻繁な地震や災害に加え、近年はシカの飛び出し事故の多発や市街地に出没するクマが大問題になっている。豊かな暮らしを求めて大地に手を加えてきた私たちだが、今静かに自然の逆襲が始まっているとしたら、これから何をすべきなのだろうか。議論は急がねばならない。(生活デザイナー)