「コシャマインの戦い」の戦端の地となった国の指定史跡「志苔館(しのりだて)跡」で22日、慰霊碑鎮座50年の節目となる慰霊祭が執り行われた。地元住民ら約40人が参列し、かつての激しい戦いによって道南地域で命を落としたアイヌ民族と和人の霊を慰めた。
志苔館は、南北朝時代に蝦夷地へ渡来した和人が築いた館。アイヌ民族が武装蜂起したコシャマインの戦いによって1457年に陥落、その後和人が奪い返し、1512年の戦いで再び攻め落とされ廃館となった。
戦いで亡くなった犠牲者の霊を鎮めるため、石崎地主海神社(函館市白石町)が中心となって1970年、志苔館跡横に和人とアイヌをまつる慰霊碑を並べて建立。毎年7月22日に慰霊祭を行っている。
鎮座50年の節目を迎えるにあたり、同神社の川島千恵子宮司が昨年から今年6月にかけて上ノ国、松前、福島、知内、木古内、北斗を巡って古戦場跡を拝礼。今回の慰霊祭では初めて、道南地域に大小合わせて17ある館跡で命を落とした霊を合祀した。
雅楽の生演奏に合わせ、巫女(みこ)が平和を願う「浦安の舞」を奉納。参列者は玉串をささげ、慰霊祭のために作られた鎮魂の歌「志苔館御神歌」を斉唱した。
川島宮司は「つつがなく終了したことをありがたく思う。この慰霊祭がとどまることなく、末永く続くことを願っている」と話した。(早坂直美)