全国的にも珍しい浜辺での仏前結婚式が14日、函館市宇賀浦町の大森浜で開かれた。式を挙げた旭川市で環境保護活動に従事する米国人のジェレミー・ブランコさん(32)と函館市の会社員、葛西友美さん(34)は潮騒の音を聞きながら、御仏の前で永遠の愛を誓った。
浜辺での挙式は、ジェレミーさんのアイデア。ジェレミーさんが育った米国西海岸のカリフォルニアではビーチで式を挙げるカップルが多いといい、日本の宗教に合わせた浜辺での挙式を提案した。
快諾した友美さんが、友人で本願寺函館別院の僧侶、平塚真邦さんに相談。平塚さんによると、同別院では年に1組程度が仏前で式を挙げるが、浜辺での実施は全国で例がないという。
約3カ月前から入念に準備。土地所有者に許可を得て、除草剤をまき、草刈りをしたほか、何度もリハーサルを重ねた。移動式仏壇の運搬など会場設営は、同別院と両家が力を合わせ行った。
この日、フィリピン人の母を持つジェレミーさんは、パイナップルの繊維で作ったフィリピンの民族衣装「バロンタガログ」で登場。友美さんは、祖母(89)の着物と帯をまとい、晴れの舞台に臨んだ。
式には約40人が参加。読経が響き渡る厳かな雰囲気の中、神妙な面持ちの二人は誓いの言葉を述べた後、結婚指輪を交換した。司婚者を務めた平塚さんは「仏前で誓った思いを胸に、新たなスタートを切ってほしい」と祝辞を述べた。
式を終え、友美さんは「たくさんの人が力を貸してくれたことに感謝し、しみじみと読経を聞いていた。天気がどうなるか心配だったが、無事に終えてほっとした」と安堵(あんど)の表情。ジェレミーさんは「カモメが飛ぶような自然の中でできて良かった」と笑顔で話した。(山田大輔)