加齢性白内障以外の白内障について
白内障で最も一般的なのは、加齢が原因になっていると考えられる、加齢性白内障ですが、今回は、それ以外の白内障についてお話したいと思います。
加齢以外の原因としては、体の外からの原因と体の中からの原因の大きく2つに分けることができます。外からの要因は、紫外線、赤外線、放射線があり、紫外線は普段の生活でも浴びていますが、白内障の中でも白くなるタイプの白内障、皮質白内障に関係があると言われています。赤外線は、ガラス職人の方のように熱の中で長時間作業される方に見られるものです。放射線は放射線技師や一部の医師、看護師など医療用放射線に暴露される方に見られるものです。それらの放射線従事者には、定期的な眼科検診が義務付けられています。赤外線や放射線は一般の方々には縁が少ない要因ですね。
次に、内からの要因については、まず、お薬の副作用でかかる白内障です。最も多いのは、ステロイド(ホルモン)というお薬です。ステロイドは本来体の副腎という臓器で作られているホルモンですが、炎症を抑える強い効果があり、生体のホルモンや、それを改良したものが薬として利用されています。時には、難しい病気にもとても効果を発揮しますが、時として副作用にも注意が必要です。眼科ではやはり副作用として、白内障や眼圧上昇(続発緑内障)することがあります。剤形としては、飲み薬、注射、点眼のいずれの形でも起きえます。最も患者さんの数が多いのは、糖尿病です。血中の血糖が水晶体に影響して混濁を生じます。そのほか、副甲状腺機能亢進症など血中のカルシウム濃度が高くなる状態でも生じることがあります。
治療は、主に手術になりますが、通常の加齢性の白内障の場合と特に変わりません。
これらの病気をお持ちでも、全身状態が安定すれば、通常は局所麻酔で行うことができます。このような病気をお持ちの方は一度お近くの眼科に受診されてはいかがでしょうか。
(ハコラク 2019年7月号掲載)
略歴
平成4年、旭川医科大学医学部卒業。旭川医科大学、釧路赤十字病院、北見赤十字病院、西成病院、札幌徳洲会病院、遠軽厚生病院勤務を経て、平成24年から市立函館病院に着任し現在に至る。日本眼科学会眼科専門医。
市立函館病院
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