テニス肘とは
テニス肘は物を持ち上げる時、肘の外側から前腕にかけて痛みを生じる整形外科外来でも比較的多い疾患です。肘の外側の上腕骨外上顆から手指や手関節を伸ばす筋肉が始まり、使い過ぎによって筋肉起始部、特に短橈側手根伸筋に炎症や変性、微小断裂が生じることが原因と言われています。テニスのバックハンドやスピンをかけたフォアハンドなどが原因になりますが、実際にはスポーツをしない中高年の方が繰り返し物を持ち上げたり、タオルを絞ったり掃き掃除をしたりなど、仕事や日常生活の動作や、片付け物や引っ越しなどで手を使い過ぎたりしたことが原因になります。
肘の外側を押さえると痛みがあり、抵抗を加えながら手関節や指を伸ばすと痛みが生じるなどの誘発試験で診断されます。
保存的治療が有効でそのほとんどが1年以内に治っていきます。局所の安静や伸筋腱に負担をかけないように脇をしめて掌を上に向けて物を持つ、急な握り動作を避ける、使い過ぎないなどの日常生活の注意が大切です。消炎鎮痛剤や湿布の処方、テニスエルボーバンドの装着、前腕筋のストレッチも有効です。痛みが強ければステロイド局所注射(頻回に行うのは問題ですが)を行います。これらの保存的治療で治らない難治例には、筋膜切開術、切除術、前進術などの手術を行うことがあります。
一方、ゴルフ肘と呼ばれる上腕骨内上顆炎は肘の内側に痛みがあります。手関節・前腕を曲げたり内返しする(屈曲・回内)筋肉の付着部炎です。肘の内側の痛みと共に、半分程の方に環小指のしびれや、指と指の間に物を挟む力が弱くなるなどの症状の尺骨神経障害を合併します。
スポーツによる肘関節障害にはテニス肘、ゴルフ肘以外にも上腕骨内上顆の剥離骨折、内側側副靭帯損傷、離断性骨軟骨炎、中高年の変形性肘関節症など多くの疾患があり、もちろんそれぞれに治療法が異なるので注意が必要です。我々、整形外科医にご相談ください。
(ハコラク 2019年7月号掲載)
略歴
佐賀医科大学卒業後、久留米大学整形外科教室に入局し同院麻酔科、門司労災病院整形外科、聖マリア病院整形外科、福岡県立柳川病院整形外科、亀田病院整形外科などの勤務を経て、平成9年9月、こが整形外科クリニック開院。日本整形外科学会整形外科専門医。
こが整形外科クリニック
函館市時任町23-9 ☎0138-54-0020
■診療科目/整形外科、リハビリ科、リウマチ科
■診療時間/月・火・木・金9:00~13:00、
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