函館港に17日、郵船クルーズ社の豪華客船「飛鳥II」(5万142トン)と、MSCクルーズ社(イタリア)の「MSCスプレンディダ」(13万7936トン)が入港した。同港内で5万トン以上のクルーズ客船が同日寄港した例はなく、岸壁を使用しなかったMSCの旅客の乗降時には船と陸を行き来するテンダーボートが登場し、海上には珍しい光景が広がった。
暫定供用中の若松埠頭(ふとう)は最大でも4万トンクラスまでの受け入れとなり、5万トン以上の大型船が接岸できるのは、港町埠頭のみで、乗客約800人を乗せた飛鳥IIが接岸。MSCは豊川埠頭と市青函連絡船記念館摩周丸の間にある若松南埠頭から約3キロ沖合の海上にいかりを下ろした。
このため、約3500人の乗客が乗ったMSCからは、テンダーボート6隻を使って陸上に乗客をピストン輸送した。防波堤内ではこれまで2014年に米レジデンシー社の「ザ・ワールド」(4万3188トン)寄港時に同じ方法を取ったが、堤外からは初めてという。
同船を利用した神奈川県の男性(72)は「思っていたより揺れが少なく快適な旅になっている。函館では名所を回りたい」と話していた。2隻は同日夕方ともに次の寄港地に向けて出発した。(小杉貴洋)