閉経期ホルモン療法について
更年期障害のホルモン治療は、ほてり、のぼせ、発汗、動悸などの症状や、皮膚が弱くなった萎縮性腟炎、骨がもろくなる骨粗しょう症などの治療の目的で行われてきました。最近、世界的には「閉経期ホルモン療法」とも呼ばれるようになってきており、更年期の症状がなくても女性ホルモンの低下によるいろいろな病気の予防や、健康を保つ目的でホルモン剤が使用されるようになってきました。
病気の予防や健康を保つというところはとても大事で、なぜなら日本人女性の平均寿命は平成28年で87・26歳ですが、介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送れる健康寿命は74・79歳です。つまり、平均寿命と健康寿命の差が12・35年あり、最後の12・35年間を不自由な状態で生活しなければならないことになります。ですから、健康長寿を保つことはとても大事で、栄養、運動、そして閉経期ホルモン療法が役立つのではないかと考えられてきています。
ホルモン剤の使い方ですが、女性ホルモンだけを長期に続けていますと子宮体がんが増えるということがわかっていますので、それを予防するために黄体ホルモンのお薬を組み合わせるのが普通です。子宮を摘出された方は、黄体ホルモンのお薬は不要です。女性ホルモンのお薬には、飲み薬、貼り薬、塗り薬の3種類があります。
また、ホルモンの種類や含まれている量の違いもありますので、いろいろ試してみてその人に合ったお薬を選んでいきます。子宮体がん以外の副作用としては、乳がん、不正出血、血栓症などがあります。乳がんは、最近は黄体ホルモンの種類を工夫して、5年未満であれば影響はほぼないと言われています。詳しいことは、ぜひ産婦人科を受診して相談してみて下さい。
(ハコラク 2019年6月号掲載)
略歴
昭和59年、札幌医科大学卒業。前製鉄記念室蘭病院高度生殖医療実施施設実施責任者、前室蘭産婦人科医会会長を経て、平成25年より現職。医学博士、日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医。
共愛会病院
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