肝胆膵疾患の治療を行う高度技能専門医修練施設
肝胆膵は胃腸などの消化管と違い、直接食物と接する臓器ではありませんが、消化液を分泌して消化・吸収を助けたり、吸収された栄養分を蓄えたりしている臓器です。例えば肝臓では消化液の一種である胆汁の産生、タンパク質の合成や栄養分の貯蔵、解毒などを行っており、膵臓は消化酵素の分泌や血糖をコントロールするホルモンであるインスリンを分泌しています。肝胆膵は複雑に絡み合って機能しているので、そこに生じる病気に対する対応は精密さや繊細さが要求されます。対象の疾患は良性の胆嚢結石や胆管結石から肝臓がん、胆道がん、膵臓がんなどの悪性疾患まで幅広く、特に手術を必要とする疾患に関しては手術手技のみでなく、手術前後の管理にも細かい対応が要求されます。
日本肝胆膵外科学会では肝胆膵領域の難しい手術を安全確実に行うことのできる外科医を育てるために、高度技能専門医制度を平成20年より始めました。高度技能専門医になるためには、学会が認定した修練施設での修練(高度技能指導医に直接指導を受けた手術実績)のほかに、自らが行った手術のビデオ審査合格が必要となります。修練施設は高度技能指導医あるいは高度技能専門医が常勤し高難度肝胆膵外科手術を一定数以上行っている病院のうち、手術の質のみならず術前評価や治療方針、術後の成績(合併症、死亡、在院日数など)を評価して認定されます。また、修練施設は手術結果についての調査書を毎年学会へ提出して評価を受けます。
そのため修練施設であることは手術の質だけではなく、その施設が肝胆膵疾患について手術前後を通じて良好な環境が整っていることが評価されていると思います。肝胆膵疾患と診断された際に手術が必要か、手術が可能かの判断が難しい場合があり、セカンドオピニオンが望まれることもあります。その際には、肝胆膵疾患が得意な病院の選択基準の一つとして「高度技能専門医修練施設」を覚えておいてください。
(ハコラク 2018年5月号掲載)
略歴
平成2年、北海道大学医学部卒業後、同大医学部附属病院、市立札幌病院などを経て、財団法人がん研究振興財団リサーチレジデント、北海道大学大学院医学研究科移植外科学講座特任助教、北海道社会保険病院外科部長、JCHO北海道病院外科部長を歴任。平成28年4月から市立函館病院消化器外科科長、平成29年4月から同科医療部長。日本外科学会専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・北海道支部評議員、日本肝臓学会専門医、日本肝胆膵外科学会評議員・高度技能指導医。
市立函館病院
函館市港町1-10-1
☎0138-43-2000(代)
http://www.hospital.hakodate.hokkaido.jp/
■診療科目/消化器内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器外科
心臓血管外科、精神神経科など全30科目
■外来診療受付時間/8:30~11:30、午後は予約患者のみ
※診療科によって異なるので詳しくは問い合わせを
■休診日/土・日曜・祝日
がん相談支援センター開設時間/8:30~17:00
(土・日曜、祝日を除く、内線3289)
なんでも相談コーナー開設時間/8:30~17:15
(土・日曜・祝日を除く、内線4112)