6月1日に漁が解禁となるスルメイカの大漁祈願祭が26日、函館漁港で開かれた。函館市漁協の「函館小型いか釣漁業部会」(佐藤豊次部会長、20隻所属)をはじめ、漁業関係者や大勢の市民が駆け付け、今シーズンの豊漁と安全を祈願した。
青空の下たくさんの大漁旗がたなびく中、漁港内に設けられた祭壇で宮司による神事が執り行われた。漁業者や市場関係者らが玉ぐしをささげたあと、今年のお札船となった第八慶勝丸(坂田豊船主)の船上で祈とうを行った。
その後は恒例の餅まきを開催。子どもから大人まで声をあげて楽しんだほか、昨年は悪天候のため中止だった、海上パレードも実施。大漁旗や日の丸を掲げた漁船10隻が沖へと一斉に出発し、壮観な姿を来場者に披露した。
昨シーズンの道南スルメイカ漁は、一昨年の記録的な不漁からわずかに回復したものの、ここ数年の低水準から脱することができていない。イカで栄えたかつての姿にはほど遠い状況が続いており、漁業者は先行きの不安を抱えたまま今季の漁開始に臨む。
また今年は中東情勢の悪化による国際的な原油価格の上昇を背景に、漁船の主な燃料となるA重油の価格が高騰。函館市漁協によると、16日現在の1リットル当たりの価格は、前年同期比15円高の83・3円(税別)と、大きな負担となって漁業者にのしかかっている。佐藤部会長(68)は「昨年もはっきりいって全然だめだった。今年はさらに燃料も高く、どれだけ船を出せるかは漁次第。今年こそはと期待せずにはいられない」と力を込める。
30日には函館市国際水産・海洋総合研究センターで、専門家によるスルメイカの資源予測と動向を発表する講演会が予定されている。(野口賢清)