函館豆腐油揚組合(工藤英洋理事長、加盟7社)は今年度、初の地元豆腐店活性化プロジェクト「To Future(トウフューチャー)」を始動する。大豆栽培から豆腐を作って販売に至るまで一貫して行う全国でも珍しい試みで、地元産豆腐の話題性を高め、客を呼び込むきっかけにする。13日に、函館市内の農場で種まき作業をする。
1960年をピークに全国に5万軒あった豆腐店は、大手スーパーの進出や後継者不足による廃業が相次ぎ、現在は8000軒程度まで減少。組合に加盟する七飯町、函館市の7社も、ほとんどが個人豆腐店で厳しい経営を強いられている。
豆腐店減少による豆腐文化の衰退に危機感を抱いた工藤理事長(44)=日乃出食品社長=が、昨年8月に開かれた「はこだて国際科学祭2017」で、こだわりの大豆を使った豆腐作りに関する構想を発表。地元の豆腐店に客を呼び込もうと、新たに動き出した。
有機農産物JASの認定を受け、野菜や大豆を中心に栽培している農場「ローラファーム」(豊原町)の協力で、10アールの畑に大粒で糖度が高い「鶴の子大豆」5・5キロをまく。草取りなどの管理も自分たちで行い、今秋に150キロの収穫を目指す。来年2月に「はこだて福豆とうふ」の名称で売り出す計画。絹ごしや木綿など店によって得意な種類が異なるため、それぞれの個性を生かした豆腐を作る。希少な函館産有機大豆を使った豆腐のため、1丁(300~400グラム)300円以上で、スーパーの店頭価格に比べ約3倍の価格に設定する。「甘みが強く、そのままでもおいしい豆腐が出来上がる」と工藤理事長。
白い豆腐を節分に食べると、邪気をはらい、幸福を招くとされることから、2月3日に各店で限定販売するか、2月に開催される「はこだてフードフェスタ」に出展するか、どちらかの販売方法を検討する。
工藤理事長は「地元豆腐店の活性化につなげるのが狙い。地元産豆腐を食べてもらう起爆剤にしたい」と張り切っている。(山崎大和)