総合毛髪企業の「アデランス」(東京)はこのほど、世界各国のグループ会社代表者による世界ウィッグ技術競技大会を開き、オーダーメイドレディース部門の日本代表で出場したアデランス函館(函館市本町)の崔(チェ)かな子さん(37)が優勝した。19カ国62社を展開する同社の創業50周年を記念した初の大会で、崔さんは「まさかという感じでしたが、全国大会よりもリラックスができていて、大会を楽しむことができました」と笑顔を見せている。
崔さんは美容師としての経験を生かし、2016年11月からアデランス函館で勤務。昨年、社内の技術大会に初出場し、同11月の全国大会の美容部門で優勝した。世界大会は4月16日に都内で行われ、10カ国から3部門に各10人が出場。根本信男会長、津村佳宏社長、俳優の遠藤憲一さんらが審査員を務めた。
マネキン相手にオーダーメイドウィッグのスタイリング力を競った全国大会と違い、今回は事前に組み合わせが決まったモデルが相手で、大会前日に初めて顔を合わせた。そのため写真でふくらませてきたイメージとの違いも大きく、崔さんは「モデルさんの意志も尊重して、一からイメージを作り上げる感じになりました。モデルさんに似合うように作ろうと吹っ切れました」と話す。
テーマは「春のさくら」で、当日のモデルは赤を基調とした着物姿。後頭部には花の輪郭を表現し、カラーリングした毛先のピンクが花びらが散ったイメージとなり、モデルの女性も納得の仕上がりとなった。同社広報によると、同部門は接戦だったといい、崔さんは「ウィッグの毛色使いやアレンジ、トータルのバランスなどが審査員の目を引いた」という。
大会を終え、崔さんは3人が勤務する函館店での通常勤務に戻った。世界大会優勝の快挙は顧客にも伝わり始め、祝福の輪が広がっている。稲沢学店長(50)も優勝を喜び、「アデランスの技術者は一般の理美容師よりも習得するべき技術が多い。素直で吸収力があるのでこれからも楽しみ」と期待する。
崔さんは「海外の技術者は創造性も豊かでした。自信もついたので、思い切って自分を出せるかなと思います。これからもいつも通りにお客様の要望を聞きながら仕事をしていこうと思います」と話している。(今井正一)