渡島総合振興局は今年度、外国人観光客の受け入れや海外向け商品開発に取り組む企業、自治体に、管内の外国人から助言をもらう「おしま食・観光・海外戦略推進外国人アドバイザー」を派遣する。道内14振興局で初の取り組み。国によって異なる習慣や食文化など、一般的な外国人の目線に立った受け入れ体制の充実を図ることを目的に、アドバイザーの委嘱を進めていく。
同振興局では昨年度、管内の旅館や観光施設など9事業所を対象に、観光や経営に詳しい専門家を派遣する事業を実施した。また、食と観光のブランド化をテーマに各担当課の職員の連携を深める庁内横断チーム「おしま海外戦略CFT」を設置。外国人観光客のさらなる誘致に向け体制を強化する上で、企業や団体に、管内に住む一般的な外国人の視点を取り入れ、事業に生かしてもらおうとアドバイザーの制度化を決めた。
アドバイザーは訪日外国人の大半を占める台湾や中国などのアジア圏出身者をはじめ、近年同振興局が誘致を進める後志管内ニセコ町に長期滞在するオーストラリア出身者など。ほかにもタイやイギリスなどを想定し、任期は1年間で同振興局が登録する。企業や自治体などの要望に応じて、モニターツアー参加や施設の利便性向上に向けた助言をしたり、海外での商談会で使うパンフレットの構成をチェックしたりする。
19日にアドバイザーの委嘱式があり、公立はこだて未来大学准教授のアダム・スミスさん(47、オーストラリア出身)と通訳案内士の柳珍娜(リュウ・ジェンナ)さん(48、台湾出身)が、小田原輝和局長から委嘱状を受け取った。アダムさんは「道南はサイクルツーリズムに適した環境で、素晴らしい場所。2002年からずっと函館に住み、海外旅行の経験も生かしながら、外国人観光客が関心を寄せてもらえるような発想を提案したい」、柳さんも「北海道は知っていても函館を知らないという人が周りにおり、より多くの人に道南の魅力を発信したい。台湾人は自然が好きなので、函館だけでなく道南のさまざまな場所を紹介できれば」と意気込む。
今年度は6カ国、計6人ほどの委嘱を想定。小田原局長は「外国人向けの商品開発などのアドバイスをいただきながら、外国人観光客受け入れへの一層の協力をお願いしたい。振興局挙げて取り組んでいく」と述べた。(蝦名達也)