函館市電最初の広告電車「724号車」が30日、最終運行を迎えた。「さよなら運行」として最後にまちを駆け抜け、大勢の市電ファンらが別れを惜しんだ。
始発の駒場車庫には、出発前から約30人のファンが集結。盛んにシャッターを切り、最後の雄姿を写真に収めていた。
最終運行の乗客先着100人には、これまで724号車の車体を彩った広告を紹介する記念乗車証明書が配られた。車体横には、ガス会社前―五稜郭駅前間など廃止路線も記した行き先表示板が飾られ、ファンを喜ばせた。市内の会社員、武田実さん(57)は「710形で導入された最後の車両がなくなると思うと、とても寂しい」としんみりした様子で話した。
市電の広告車両は1975年に登場し、724号車が先駆け。最初のスポンサーは旧彩華(さいか)デパートだった。市企業局交通部によると、最終運行について、当時デパートで働いていたという人からの問い合わせも複数あったという。引退後は、保守用の部品を残して廃車となる予定。(山田大輔)