函館市の会社役員・福田信さん(70)が2月に開催された東京マラソンを5時間45分54秒で完走し、世界6大マラソン全てを完走した人に贈られる「シックス・スター・フィニッシャー」の称号を獲得した。福田さんは「自分で決めたことを最後までやり抜くことができた」と達成感に満ちた表情で語る。
米国の医療関連企業アボット社が世界で最も名高く大規模な6つのマラソン大会(東京、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク)を「ワールドマラソンメジャーズ」に制定しており、全ての大会を完走したランナーには完走証とメダルを贈呈している。
福田さんは当時の職場の先輩に誘われて55歳の時に河口湖マラソン(27キロ)で大会デビュー。「全く知らない人たちとマラソンや走りを語り合えることが楽しい」と、その後も国内外のレースに出場してきた。
6大大会は、2013年にニューヨーク、14年にボストン、15年にロンドン、シカゴ、16年にベルリンを完走。福田さんは07年と12年に東京マラソンを完走しているが、同大会がメジャーズに加わったのは13年のため、シックス・スター・フィニッシャーに認定されるには改めて完走する必要があった。
東京マラソンでは、アボット社から贈られたシックス・スター・フィニッシャーの最終レースであることを示すゼッケンを着用。「近年で一番調子が良かった」と言うように序盤は快調にとばすも、残り5キロ付近から一気に疲労が噴き出す。最後は意識がほとんど無い状態だったが「周囲から見るとふらふらで歩くよりも遅かったと思うが、最後までファイティングポーズを下ろすことなく走り切ることができた」と胸を張る。
念願のメダルを手にした福田さんは「これをもらうためにどれだけの苦労をしたことか」とぽつり。フルは今回で卒業するが、7月の函館マラソンのハーフにエントリーしており「大きな目標を失った寂しさはあるが、これからは沿道の応援や街の景色など純粋にマラソンを楽しめるような気がする」と笑顔を見せる。(金子真人)