函館市は14日、函館特産食品工業協同組合(古伏脇隆二理事長、55社)の輸入イカ共同調達に対する助成事業の実施状況を明らかにした。輸入数量を当初2000トンとしていたが、輸入価格の高騰で数量は約1300トン、購入した企業は補助対象49社のうち、17社だったことが分かった。
同日の定例市議会個人質問で、工藤恵美氏(市政クラブ)の質問に谷口諭経済部長が答えた。
市は昨年、スルメイカの原料不足や価格高騰に苦しむ加工業者の負担軽減を図るため、輸入イカ共同調達に1億円を助成する制度を設けた。1キロ当たり100円、1000トン分を対象とし、組合は昨年10月~今年2月に中国や韓国から輸入。しかし、補助を使っても1キロ393円~486円の価格帯となり、組合が前年度に補助なしで輸入した価格(同480円~565円)を下回ったものの、通常の同200円~300円よりも高値となった。1キロ当たりの市の助成額は約76円。
谷口部長は「イカ製品の価格高騰に伴う売り上げ不振により製品在庫が増え、生産調整を行う必要性が生じ、購入を見送らざるを得ない企業もあった」と答えた。購入した組合員は自社の加工原料のほか、他業者へ転売するケースもあるため、17社以上に助成効果はあったとみている。組合が取引状況を聞き取る予定で、市もその結果を受けて評価を見極める考えだ。
ただ、市内には約70社のイカ加工業者があり、組合に加盟していない企業も。不公平感を生じるため、市は新年度、金融支援をはじめ、イカ以外の魚種への転換やIT(情報技術)を活用した生産性向上の取り組み支援などを打ち出しており、緊急対策として実施した今回の共同調達支援は「現時点では考えていない」(同部)としている。(山崎大和)