【札幌】函館市内でワイン原料用のブドウ畑と醸造所の建設を計画している、フランスの老舗ワイナリー「ドメーヌ・ド・モンティーユ」のエティエンヌ・ド・モンティーユ社長が8日、道庁赤レンガ庁舎で同計画やワイン醸造技術などを紹介するセミナー(仏大使館主催)を開いた。
関係者との情報交換を目的に開かれ、函館市の工藤寿樹市長をはじめ、道庁職員や有識者らが参加した。また、2013年に日仏両政府間で合意した共同声明付属の「日仏間協力のためのロードマップ」に盛り込まれた、「地方自治体交流の深化」の実施に向けて来道したローラン・ピック駐日フランス大使も同席した。
セミナーでは、道農政部の多田輝美次長が同計画に対する謝辞を述べたほか、ピック大使が「北海道の農業は日本全体の食糧自給率のみならず、国際的にも重要なものがたくさんある」「フランスは農業立国であり、いろいろな人たちとの協力が不可欠。パートナーシップについてお祝い申し上げる」とあいさつした。
スライドを用いて計画の概要を紹介したモンティーユ社長は「私たちの計画は日仏交流の大きなプロジェクト。知識や経験を出し合って、良いワイン造りをすることが非常に大切」「函館に醸造所ができたら、ワイン産業の発展はもちろん、若者を受け入れて人材育成していきたい」と意欲を示した。
工藤市長は「国内でも例がない海外ワイナリーの進出先が函館に決まって大歓迎している。壮大なワインプロジェクトを通じて、函館自体が日本の聖地になりうる可能性が出てきたと思う」と話していた。
同社は世界的に知られるフランス・ブルゴーニュ地方の名門ワイナリー。世界中で新たなブドウの産地を探し、さまざまな分析と地質学的調査を続けた結果、ブドウ栽培に重要な気候や土壌、地形などが適しているとして函館に決定。市内に7ヘクタールの農地を購入しており、将来的には20ヘクタールまで拡大する予定。年内にはブドウ苗木を定植し、最初のワイン醸造を開始する。(鳥越裕子)