函館市企業局交通部がまとめた除雪用車両「ササラ電車」の本年度の出動回数は、2月末までで延べ36回となり、現在の2両体制となった2003年以降で過去最多となった。一方、今冬はでこぼこした車道を避けて軌道に車が入り込み、市電の運行に支障をきたすケースも多く発生。同部は市電の安全運行に向けて、市民やドライバーへの協力を呼び掛けている。
記録的な降雪で、本年度フル回転するササラ電車は、昨年11月に初出動。00年以降で最も早い出番となり、これまでの稼働回数は、例年の約3倍となっている。ただ、今冬は湿った雪が多いため、竹製のブラシを高速回転させて除雪するササラ電車で対応できない日もあったという。
軌道の除雪はササラ電車のほか、業者に委託し、線路と道路を両方走れるブラシ付きの「軌陸車」で未明を中心に実施。しかし、今年は日中の短時間に大雪が降る日もあり、2月6日は除雪が追い付かず、約8時間の営業運転中止を余儀なくされた。
今冬、同部の頭を特に悩ませるのが、除雪後の軌道を通行する多くの車。悪化した車道の路面を避けた車が軌道に入り、レール上の雪を踏み固めてしまうことで電車が走りづらくなり、同日の運行障害の大きな要因となった。
また、道路脇の排雪が追い付かず道幅が狭くなっているため、やむを得ず軌道にはみ出して通行する大型車両も多い。こうした影響で2月は連日、市電のダイヤに最大で20分の遅れが生じたといい、同部は「冬はダイヤに乱れが出るが、ここまで遅れが出るのは近年ではない」とする。
幹線道路の除排雪は進み、渋滞は緩和されつつあるが、川村義浩交通部長は「冬場こそ公共交通が力を発揮する時であり、利用してほしい」と呼び掛ける。軌道の雪を車道に跳ね飛ばす除雪作業への苦情も多いというが、同部施設課は「ドライバーなど市民の皆さまの理解と協力をお願いしたい」としている。(山田大輔)