道路脇の雪山で見通しが悪い上にでこぼこした路面が影響し、各地で渋滞が発生している函館市内。除排雪作業が進まない大きな要因となっているのが、車両の運転手の人手不足だ。近年の降雪量が増加基調にあることを踏まえると、市の除雪体制は大きな曲がり角を迎えつつあり、市民との協働も含めた除雪計画の見直しが求められている。
市は、除排雪対象の市道約1300キロを大きく4種に分類。大野新道など主要バス路線の「1種」約230キロを最優先とし、「2種」(1種に準じる幹線道路)、「3種」(公共施設周辺の住宅地、郊外幹線道路)、「生活道路」の順で除雪を進めている。
幹線道路の除雪は3日程度かかるが、今冬は作業が完了した頃に再びまとまった降雪があるため、排雪や生活道路の除雪まで追い付かないのが現状だ。
連日の作業が必要となる中、顕在化したのが除雪機を操作するオペレーターの人手不足。市が作業を委託する建設業を中心とした民間事業者は、現在32社。建設関係の昨年12月の有効求人倍率は1・97倍で、全業種の1・08倍を大きく上回り、人手不足が深刻化している。
また、舗装、土木業者はこの時期、追い込みに差し掛かった道路工事で日中忙しく、夜間の除排雪作業に十分な人を配置できないことも、除雪作業の遅れの要因となっている。こうした背景から、市土木部は「記録的な積雪となっている現状ではお手上げの状態だ」とする。
◆10年単位 1.4倍に
一方で、函館市内の近年の平均降雪量を10年単位でみると増加が続いており、2011年以降は359・6センチで、1991~2000年と比べると1・4倍になっている。11~12年には465センチの累積降雪量を記録し、「道内でも降雪量は、比較的少ない」と示す市の除雪計画は、現実と乖離(かいり)しつつある。
抜本的な対策が求められる中、同部が「活路を見いだしたい」とするのが、08年に始めた「スノーボランティアサポートプログラム」。小型除雪機10台などを用意し、企業や町会、民間団体などに無料で貸し出している。ただ、市と協定を締結して利用するのは、導入以降毎年10団体以下にとどまる。
同部維持課は「制度の周知も必要だ」とし、市民協働の取り組みを推進したい考え。また、新年度の除雪計画について「春以降に課題を洗い出し、改善を検討したい」としている。(山田大輔)