函館市は新年度、誰もが乗りやすいユニバーサルデザイン(UD)タクシーの普及に乗り出す。当初予算案に400万円を計上。市内のタクシー事業者を対象に車両購入費を補助する制度を設け、初期費用の負担を軽減する計画で、利用する市民や観光客の利便性向上につなげる。
UDタクシーは、スロープを使って車いすごと乗車できるほか、低床で手すりなどを完備。運賃や利用方法は一般のタクシーと同じで、ゆったりとした車内空間は高齢者や妊婦などに人気が高い。
国は2020年の東京五輪・パラリンピックを機会に公共交通のバリアフリー化を推進中で、1台当たり約300万円かかるUDタクシーの購入費に対し、最大60万円の補助制度を設けている。
市によると、市内ではタクシー事業者4社が計6台のUDタクシーを所有。函館地区ハイヤー協会が昨年12月に実施した調査では、加盟企業のほぼ半数に当たる7社が導入を検討しており、市に補助を要請していた。
市はこうした意向を踏まえ、国の補助費の半額程度を助成する方針。国と市の補助を組み合わせることで事業者は約100万円の負担軽減となる見通しで、市は新たに10台程度の稼働を想定する。
市内でいち早く2012年にUDタクシー1台を導入した函館タクシーは、多い時で1日15回程度の利用があり、特に足の不自由な人に好評だという。齋藤博之総務部長は「市の補助が受けられるなら、もう1台購入したい」と需要を取り込みたい考えだ。
市企画部計画推進室は「市電や函館バスの低床車両の導入も進んでおり、観光都市として一層のサービス向上に努めたい」としている。(山田大輔)