林業・不動産業の山丁林業(函館市金堀町8、澤村敏雄代表)がこのほど、木を伐採した後に残る切り株を細かく粉砕する機械の特許を取得した。機械は澤村代表(88)が発明したもので、従来の方法と比べ、より早く切り株を除去することが可能となることから、林業関係者が熱いまなざしを向けている。
「伐根切削破砕機」と名付けられたこの機械は、小型ショベルカーのアームの先にアタッチメントとして取り付けることができる。機械の先端は刃がついた円筒状になっていて、この部分が高速回転することで、切り株を側面から細かく粉砕する。昨年2月に特許を出願し、今年の10月13日付けで登録された。
同社はこれまで、木を伐採した後に残る切り株に頭を悩ませていた。丸太を運ぶ際にショベルカーを利用するが、切り株があることによって走行中、キャタピラが損傷する恐れがあった。従来は切り株を掘り起こして除去していたが、この方法では切り株の周囲の土もはがしてしまうため、「土の養分を奪い、次に育つはずだった木が育たなくなってしまう恐れがあった」(澤村代表)という。
自らインターネットなどを駆使して切り株を除去する製品を探したが、見つけることはできなかった。そこで「ないなら自分で作ろう」と10年ほど前から切り株を効率的に除去する方法を考え、澤村代表自ら図面を引いて設計した。2015年に名古屋であった製品展示会で、たまたま知り合った松岡カッター製作所(静岡県)に図面を見せ製作を依頼。開発に約400万円をかけて16年6月に試作機が誕生し、業務に使用していた。
同社は破砕機をこれまで使い続けてきたが、「今のところ改良すべき点が見つからない」と澤村代表。「細かく砕いた木片は土に帰るので、肥料となるし環境にもいい。次の木を育てるにももってこい」と胸を張る。
すでに木工機械メーカーなどから多くの視察が舞い込んでおり、注目度は高い。澤村社長は「この機械が多くの現場で活躍することを願う」と話している。(野口賢清)