函館市が14日にまとめた10日時点のガソリン1リットル当たりの平均価格は、前月比1・15円高の137・78円で、2年3カ月ぶりの高値となった。灯油の価格も高止まりする中、関係者は値上げ基調が続くとみており、市民にとっては厳しい冬となりそうだ。
「最近はガソリンスタンドへ寄るたびに値段が上がっている気がする」。市内で給油していた会社員の田村勝さん(48)は愚痴をこぼす。市内のガソリン価格は、昨年3月に110円台まで下落したが、その後は上昇基調に転じ、11月の価格は前年同月と比べて12円以上高い水準となった。
全国の石油価格の動向を調査する石油情報センター(東京)によると、米国のシェールオイルの増産などで供給過剰となり、原油価格は2013年ごろから下落。しかし、石油輸出国機構(OPEC)など産油国が協調減産に踏み切る観測が出た16年から相場が反転し、最近ではサウジアラビアの政情不安も取引価格の上昇に影響を与えているという。
卸価格の上昇に小売業者も頭を悩ませる。函館地方石油業協同組合の伊藤清隆事務局長は「消費者のことを考えると元売りの上昇分をすべて価格転嫁できない。採算は厳しく、上昇傾向が続くのでは」とみる。
市内の11月のホームタンク用灯油価格は、前年同月と比べて1リットル当たり約15円高い83・20円で、3カ月連続で上昇した。灯油を定期配達する池見石油店(西桔梗町)は21日から、前月に続いて1リットル当たり4円値上げする。担当者は「他社の動向次第だが、12月も値上げすることになるだろう」と話す。
価格の先行きについて、同センターは「OPECが来年3月末で終了する減産合意を延長すれば、さらなる値上げにつながる」とする一方、「減産延長を受けて米国がシェールオイルを増産すれば上値は抑えられる可能性がある」と指摘している。(山田大輔)