東日本大震災を受けて制定された「津波防災の日」(11月5日)を受け、道警は15日、JR函館駅構内で地震・津波避難訓練を実施した。函館西署管内の訓練では初となる実際のJR車両を使用し、車内に閉じ込められた乗客の救出や避難誘導が行われた。(大谷健人)
訓練には道警函館方面本部、同署、市消防本部、JR北海道、道南いさりび鉄道などから約80人が参加した。
災害の想定は、十勝沖を震源とするマグニチュード9・0の地震が発生し、函館では震度5強を観測、大津波警報が発表されたとした。津波が迫る中、地震により脱線して停車した車内では乗客が転倒して負傷者が出ていることに加え、電気系統の不具合で乗降ドアが開かなくなった事態を想定した。
訓練場所は2011年3月の東北地方太平洋沖地震で実際に冠水した地点で、函館では外国人観光客が増加している事を踏まえ、道教育大函館校に通う留学生が乗客役となった。消防と警察がそれぞれ車両の前後のドアを開け、けが人や車いす使用者などを含む乗客を救出し、警察官が日本語だけではなく、英語などでも乗客を誘導し、津波発生時の避難ビルに指定されているフォーポイントバイシェラトン函館に避難した。
訓練後、函館西署の林大輔地域・交通官は「北海道の玄関口となる函館では初となるJR車両を使用した救出訓練となり、非常に有意義な訓練となった」と講評。参加したジョアン・ワムスリさん(20)=オーストラリア出身=は「訓練は将来の安全のためにとても大切なものになった」と話していた。(大谷健人)