函館市と市内5漁協(函館市、銭亀沢、戸井、えさん、南かやべ)は11日、マコンブの統一名称を「函館真昆布」とすることを決めた。浜ごとに使用している既存の名称は残し、出荷段ボールに市が商業利用を認めている「函館ロゴマーク」を入れ、その下に函館真昆布と明記する。消費者の認知度を高めるため、各漁協が問屋側からメーカーに対し函館真昆布と商品に書いてもらえるよう働き掛ける方針だ。
同日、銭亀沢漁協で開いた市も参加した事務レベルの会議で正式に決まった。市農林水産部によると、出荷時の梱包(こんぽう)用段ボールに函館真昆布と明記。字体や縦文字か横文字かの判断は漁協に委ねる。在庫が残っているため、新しい段ボールの使用は早ければ来年以降になるという。
また、市内で水揚げされるガゴメコンブとミツイシコンブに関しては「函館」という名称のみを入れることも決まった。
道内では利尻や羅臼、日高など地域名を冠したコンブの知名度が高い。函館は質、量とも他産地に引けを取らないが、旧4町村と合併したこともあり「尾札部昆布」「白口浜」「真こんぶ」など浜ごとの特徴を捉え、取引されるケースが多かった。産地表示も「道南産」が多く、全国的な認知度に欠け、消費者へのアピール不足を痛感していた。
危機感を抱いた市と5漁協が歩調を合わせ、今年2月から函館の知名度を有効に使った産地名称が付けられないか具体的な協議をスタート。各漁協理事会での承認も得て、慎重に検討を進めてきた。
北海道水産現勢によると、市の2015年漁業生産高は、イカが41億1700万円だったのに対し、コンブが66億4200万円と魚種別で首位になっている。
川村真一農林水産部長は「漁業者は既存の銘柄に誇りと自信を持っており、それを尊重しながら、函館真昆布と併記することにした。函館で良いコンブが採れることを多くの消費者にアピールしたい」と話している。(山崎大和)