函館市は4日、市環境部庁舎で開かれた第3回市公害防止条例改正検討委員会(桜井泰憲委員長)で、同条例の拡声放送の規制について、朝イカ売りを地域慣習と位置付け、規制適用の対象外とするなどの改正案を示した。
市は1973年の施行以来、大幅改正のない同条例を現在の市の実情に応じたものに見直そうと、環境工学や法律などの専門家5人でつくる同委員会に意見を求めている。
現行では災害時の広報や行政上の目的で実施する放送などを除き、午後7時~午前8時の拡声機使用を禁止しており、午前5時ごろから販売を始める朝イカ売りは規制の対象となる。
前回会合では、函館のイカ売りについて「長時間にわたって音を出す宣伝放送と、短い時間の放送を同じように規制して良いのか」「季節的な名物と位置付け、停車中は音を出さないなどのルールをつくる対応は可能」などの意見が上がっていた。
市は規制の見直し案として、イカ売りなどの地域慣習を適用除外に追加すると同時に、「何人も拡声放送を行うことにより周辺の静穏を害することのないよう努めなければならない」とする責務規定を新設する方針。また商業宣伝を目的とした移動式拡声放送について、停車時には拡声機の放送時間を10分以内とするルールなどを定める。
桜井委員長は「生きたまま港に運んだイカをまちで売っているのは函館や江差などに限られており、ほかではできない昔からの地域の風物。ぜひ残してもらいたい」と述べた。
10月に予定する第4回会議で改正に関わる検討を進め、市民からの意見を募るパブリックコメントなどを経て、本年度中の議会提出を目指している。(金子真人)