青森地域社会研究所(青森市)は、北海道新幹線の利用状況に関して青森県と函館市で行ったアンケート結果をまとめた。北海道新幹線の利用経験は、開業約1年間で函館は51・9%に上ったが、青森は22・6%にとどまり、大きな開きがみられた。また、青函連携への期待は両地域ともに高い割合を示したものの、開業前の調査と比べて函館はややトーンダウンした。
調査は5月に実施。青森銀行の協力を得て青森県932人、函館市264人の給与所得者から回答を得た。
片道を1回とした利用回数をみると、「1~2回」は青森が14・7%、函館は28・0%。3回以上は函館が23・9%で、青森の7・9%を上回り、利用頻度の高さが目立った。
乗車目的は、両エリアともに「旅行」がトップで、割合は青森が77・7%、函館が48・9%。函館は「商用・出張」が35・8%とビジネス需要もみられた。新函館北斗駅から乗車した人の下車駅は、新青森が最多で53・3%。仙台が29・2%、東京・上野が22・6%、八戸が21・2%で続いた。
また、今後の両地区の連携、交流について「深まっていく」とする割合は、青森が74・2%、函館が66・6%で高水準となった。ただ、開業前の2015年11月に実施したアンケートで「深まると思う」と回答した割合は青森が69・4%、函館が80・4%で、函館は開業後に期待感がやや薄れた格好となり、同研究所は「道南が新幹線開業効果を単独で享受していることが要因ではないか」とみる。
調査を担当した野里和廣主任研究員は、新幹線開業を「青森は道南へ向かう東北新幹線の延伸、函館は東北・首都圏へ向かう玄関の完成ととらえている」と指摘。青函地域の交流促進について「青森では商用で新幹線を使う人が少ない。観光だけでなく、ビジネス交流を深化させることが今後重要になる」と話している。(山田大輔)