函館市は、ふるさと納税の2016年度の収支(寄付の受け入れ額と税収の流出額の差)が7753万円(速報値)の赤字となったことを明らかにした。08年度の制度開始以来、赤字額は過去最大に膨らんだ。市は本年度から返礼品を充実させ、寄付額は既に前年度実績を上回って推移しているが、返礼品や減税がある“お得な制度”が浸透しており、影響が見通せないのが現実だ。
市財務部によると、16年度の市への寄付額は1138万円(207件)で、前年度比565万円減(33件減)となった。大口寄付の減少が影響したが、毎年1000万円台で推移しており、大きな変動ではないとみる。これを反映した本年度の個人市民税控除額は同4086万円増の8891万円。制度による赤字は7753万円と、前年度に比べ4651万円拡大した。
市は、今年4月から返礼品を拡充して寄付獲得を強化。市内百貨店を通じ170品目以上ある返礼品から選べるようにしたほか、使途に大間原発(青森県大間町)の建設差し止め訴訟の費用を加えたことで、大きな関心が集まった。寄付状況(2日午前8時現在、入金ベース)は1090件、3615万円と「返礼品見直しの成果が出ている」(同部)という。
ふるさと納税は応援したい自治体に寄付すると返礼品がもらえ、住居地で税控除も受けられるため、一気に人気に火がついた。ただ、赤字額が膨らみ、税収の減少に悩む自治体も少なくない。同部は「制度が浸透して利用者(寄付金控除)が伸びる傾向にあり、赤字解消はどうなるか見通せない」としている。(山崎大和)